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【民事裁判例】性同一性障害者の性別の取り扱いの特例に関する法律に基づいて性別の取り扱いを男性に変更した者の妻が、婚姻後に、第三者からの精子提供により出産した子について、父の欄を空欄とされた戸籍の訂正許可申立てが認められなかった事例(東京高裁平成24年12月26日決定)
2014.06.26
解決事例
【民事裁判例】性同一性障害者の性別の取り扱いの特例に関する法律に基づいて性別の取り扱いを男性に変更した者の妻が、婚姻後に、第三者からの精子提供により出産した子について、父の欄を空欄とされた戸籍の訂正許可申立てが認められなかった事例(東京高裁平成24年12月26日決定)

事案の概要

平成20年に性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に基づいて性別の取り扱いを男性に変更したX1は、X2と結婚し、平成21年に第三者からの精子提供(非配偶者間人工授精)により男子Aをもうけ、平成24年4月にB区長に対して出生届をしたところ、B区長はAの戸籍について父の欄を空欄とした。Xらは、戸籍法113条に基づいて、遅々の欄を空欄からX1にすることを求める本件各申立てをした。原審が本件各申立てを却下したため、Xらが、Aについて非嫡出子として記載することは憲法13条、同14条に違反するなどと主張して即時抗告を申し立てた事案である。

決定の要旨

抗告棄却。

戸籍の記載上、生理的な血縁が存しないことが明らかな場合には、民法772条を適用する前提を欠き、AがXらの嫡出子とは推定できないから、B区長がAについて非嫡出子として記載したことは客観的事実を記載したものであり、憲法13条、14条に違反するものではない。

コメント

法務省民事局が、特例法に基づいて性別の取り扱いを変更した者の妻が婚姻中に非配偶者間人工授精を行って懐胎した子について、夫との間で遺伝的な父子関係がないことが明らかであるとして夫との嫡出子とは認めないとの見解を示していることが、本件の背景にあるようである。

民法772条の嫡出推定の規定は、夫による懐胎を前提とした規定であるから、特例法により性別の変更取扱いの決定がされたとしても、実際にはその者による懐胎は考えられないから、民法772条の嫡出推定規定を適用する前提を欠くものと判断されたものである。

遺伝的な父親であるところの精子提供者との関係等、今後法整備が図られる必要性の高い論点であると思われる。

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